お笑いネタのボケに対するフリの作り方

お笑いネタを作るときに、ボケをするための「フリ(振り)」はどうすればいいのか?

「フリ」とは?


「フリ」とは、「結果(反応・ボケ)」に対して因果関係のある何らかの発言・行動・文字・デザインなどによる前置き。
基本的には、「何かを求める」際に、導き出すための前置きとして行う発言や行動など。
ただし必ずしも「何かを求める」際に行うとは限らず、「結果」的には因果関係が成立している「前置きとなっているもの」が「フリ」となります。
※「反応」は、笑いを誘うためのものではなく、常識的な方法で返した結果。
※「ボケ」は、笑いを誘うために行う非常識的・非現実的などによる方法で返した結果。

フリの作り方


  • 質問・疑問(他人・自分に対して問いかける)
  • 催促・命令(他人に対して何かを要求する)
  • 合図(ジェスチャーや音などで行動を促す)
  • 強制(他人に対して何らかの方法で無理やりさせる)
  • 題目・設問(他人・自分に対してテーマを投げかける)
  • 文章・図形(テーマを設定する)

フリの種類


  • 他人に対して行動・発言などを催促する(A「フリ」 ≫ B『反応』)※常識的なやり取り
  • 自分に対して行動・発言の前置きをする(A「フリ」 ≫ A「反応」)※表現的なやり取り
  • 他人にボケさせる(A「フリ」 ≫ B『ボケ』)
  • 自分でボケるための前置きをする(A「フリ」 ≫ A「ボケ」)
  • ボケつつ、フリを入れる(A「ボケ的なフリ」 ≫ B『ツッコミ的なボケ』)
  • ツッコミつつ、フリを入れる(A「ツッコミ的なフリ」 ≫ B『ボケ』)
  • ボケ的なツッコミを入れつつ、フリを入れる(A「ボケ的でツッコミ的なフリ」 ≫ B『ボケ』)
※「表現的」は、文学や演技上の演出として。例えば、自問自答(心理描写)や説明台詞。
※「ボケ的な~」は、おかしさを含んでいる発言・行動など。
※「ツッコミ的な~」は、ボケに対して指摘・訂正・驚きなど、おかしさへの反応。
※「ボケ的なツッコミ~」は、ボケに対しておかしさを含んでいる指摘・訂正・驚きなど、おかしさへの反応におかしさを含める。
※フリを入れられた側(B『』)も『ボケ的な~』『ツッコミ的な~』『ボケ的なツッコミ~』で返すことができます。

説明


例えば、「喫茶店」を舞台にネタを作るとします。
まずは、喫茶店の展開を列挙します。
「お客側の展開」で考えてみましょう(※実際にネタを作る際は「店員側の展開」「お店の設定」なども合わせて考えます。今回は省略)。
  1. 入店
  2. 席探し
  3. 着席
  4. 注文
  5. 飲食
  6. 会計
  7. 退店

この一連の流れの中で使えそうなボケを思いつく限り、考えます。
例えば、「アイスコーヒーをホットで」というボケを考えたとします。
「アイス≠ホット」となり、混乱(矛盾)を発生させるボケになっています。

次にフリかツッコミを考えます。
とりあえずツッコミから考えるとしましょう。
例えば、「アイスコーヒーをホットで」に対して「どっちなんですか?」というツッコミを考えたとします。
「アイスコーヒーをホットで」の文脈としては、「アイス」という言葉が先にあるのにもかかわらず「ホット」という言葉が後から来ているため、飲料の状態(温度)が「アイス」なのか「ホット」なのかどちらを注文しているのかが明確ではありません。そこで混乱を招く注文の仕方に対して「二種類で迷う+疑問系」を表現する「どっちなんですか?」を発する」ことで、同じく「どっち?」と思っている観客が納得感を感じます。

ではこの「ボケとツッコミ」を「喫茶店」という舞台にしたネタで使うにはどうすればよいのか?
ここでフリを使います。
フリをするために2点考える必要があります。
まず、一点目はどのタイミングでこのボケをするのか?
普通に考えれば喫茶店で注文するのは入店後の着席時なので、着席後の展開にこのボケを入れることになります。
つまり、このボケを引き出すためのフリは入店後の着席時になります。

二点目はこのボケを引き出すにはどのような展開が必要か?
「アイスコーヒーをホットで」という「注文をさせる台詞を言わさせる状況」を作れば良いのです。
そこでこの台詞。「ご注文はお決まりでしょうか?」。
以上を組み合わせると、着席した人物が注文をする展開が脈絡上きれいにおさまります。
(※入店、着席、メニュー閲覧後)
ご注文はお決まりでしょうか?
アイスコーヒーをホットで
どっちなんですかっ!?

フリというのは、ストーリー展開の中にボケを入れるための「連結部分」なので、ボケありきでネタを作り、あとは展開の中にその「ボケを入れることが必然的になる様な前置きとなる展開(台詞)」を考えるのが作り方になります。

ではもしこの2点を守らなければ?
(※入店直後、着席前)
ご注文はお決まりでしょうか?
注文が早いっ!!

フリで使っていた「ご注文はお決まりでしょうか?」がタイミング次第ではボケになります。
また、注目点は「フリを無しにボケている」ということです。
「着席後に注文を取るという常識を裏切る(※違和感の発生)」「座ってもいないし、メニューも見ていない段階で注文を聞かれても答えられない(※納得感の発生)」によってボケが構成されています。フリはあくまでもストーリー展開の連結部分として必要であれば入れるだけなので、ボケをするのにフリというのは必ずしも必要というわけではありません。

次に。
ご注文はお決まりでショーターイムッ!!フゥ―――ウッ!!
テンション高いなっ!!

「注文をさせる台詞」にしては不適切なのでフリではなくボケになります。
フリはおかしさを発生させてはボケになってしまうので、常識的・現実的な展開(発言・行動)が求められます。

さらに。
(※入店直後、着席前)
ご注文はお決まりでしょうか?
注文が早すぎてクリビツテンギョウだわっ!!

この場合は「ご注文はお決まりでしょうか?」がフリ的なボケになり、「注文が早すぎて~(※「ビックリ仰天」を業界語っぽく言うボケ)」がボケ的なツッコミになります。

ボケ(「ご注文~」)よりも後続のツッコミ(「クリビツ~」)のほうが面白みが増すと、ボケ(「ご注文~」)が次へのツッコミ(「クリビツ~」)のための「フリの役割」ということになります。

注意点


「フリ」に関しては、一般的に明確な用法(定義)が確立しているわけではありません。
ここまでご覧いただいたフリの用法は、あくまでも当ブログの管理人による解釈によるものです。
どれがフリ・ボケ・ツッコミにあたると思うのかは人によって違うかもしれません。場合によっては、私の解釈を他人に話した場合は見解の相違(「それはフリではないよ」と言われる可能性)があるかもしれません。