お笑いネタのボケに対するフリの作り方

お笑いネタを作るときに、ボケをするための「フリ(振り)」はどうすればいいのか?

フリの方法


  • 質問・疑問(他人・自分に対して問いかける)
  • 催促・強制(他人に対して何かを要求する)
  • 題目・設問(他人・自分に対してテーマを投げかける)
  • 文章・図形(テーマを設定する)

フリの種類


  • 他人に対して行動・発言を催促する(「フリ」 ≫ 『反応』)
  • 自分に対して行動・発言の前置きをする(「フリ」 ≫ 「反応」)
  • 他人にボケさせる(「フリ」 ≫ 『ボケ』)
  • 自分でボケるための前置きをする(「フリ」 ≫ 「ボケ」)
  • ボケつつ、フリを入れる(「ボケ的なフリ」 ≫ 『ツッコミ的なボケ』)
  • ツッコミつつ、フリを入れる(「ツッコミ的なフリ」 ≫ 『ボケ』)
  • ボケ的なツッコミを入れつつ、フリを入れる(「ボケ的でツッコミ的なフリ」 ≫ 『ボケ』)
※フリを入れられた側(『』)も『ボケ的な~(※おもしろい)』『ツッコミ的な~(指摘・訂正など)』『ボケ的でツッコミ的な~(※面白いツッコミ)』で返すこともできる。

説明


例えば、「喫茶店」を舞台にネタを作るとします。
まずは、喫茶店の展開を列挙します。
「お客側の展開」で考えてみましょう(※実際にネタを作る際は「店員側の展開」「お店の設定」なども合わせて考えます。今回は省略)。
  1. 入店
  2. 席探し
  3. 着席
  4. 注文
  5. 飲食
  6. 会計
  7. 退店

この一連の流れの中で使えそうなボケを思いつく限り、考えます。
例えば、「アイスコーヒーをホットで」というボケを考えたとします。
「アイス ≠ ホット」となり、混乱(矛盾)を発生させるボケになっています。

次にフリかツッコミを考えます。
とりあえずツッコミから考えるとしましょう。
例えば、「アイスコーヒーをホットで」に対して「どっちなんですか?」というツッコミを考えたとします。
「アイスコーヒーをホットで」の文脈としては、「アイス」という言葉が先にあるのにもかかわらず「ホット」という言葉が後から来ているため、飲料の状態(温度)が「アイス」なのか「ホット」なのかどちらを注文しているのかが明確ではありません。そこに「混乱を招く注文の仕方に対して『二種類で迷う + 疑問系』を表現する『どっちなんですか?』を発する」ことで、同じく「どっち?」と思っている観客が納得感を感じます。

ではこの「ボケとツッコミ」を「喫茶店」という舞台にしたネタで使うにはどうすればよいのか?
ここでフリを使います。
フリをするために2点考える必要があります。
まず、一点目はどのタイミングでこのボケをするのか?
普通に考えれば喫茶店で注文するのは入店後の着席時なので、着席後の展開にこのボケを入れることになります。
つまり、このボケを引き出すためのフリは入店後の着席時になります。

二点目はこのボケを引き出すにはどのような展開が必要か?
「アイスコーヒーをホットで」という「注文をさせる台詞を言わさせる状況」を作ればよいのです。
そこでこの台詞。「ご注文はお決まりでしょうか?」。
以上を組み合わせると、着席した人物が注文をする展開が脈絡上きれいにおさまります。
(※入店、着席、メニュー閲覧後)
ご注文はお決まりでしょうか?
アイスコーヒーをホットで
どっちなんですかっ!?

フリというのは、ストーリー展開の中にボケを入れるための「連結部分」なので、ボケありきでネタを作り、あとは展開の中にその「ボケを入れることが必然的になる様な前置きとなる展開(台詞)」を考えるのが作り方になります。

ではもしこの2点を守らなければ?
(※入店直後、着席前)
ご注文はお決まりでしょうか?
注文が早いっ!!

フリで使っていた「ご注文はお決まりでしょうか?」がタイミング次第ではボケになります。
また、注目点はフリを無しにボケている点です。
「着席後に注文を取るという常識を裏切る(※違和感の発生)」「座ってもいないし、メニューも見ていない段階で注文を聞かれても答えられない(※納得感の発生)」によってボケが構成されています。フリはあくまでもストーリー展開の連結部分として必要であれば入れるだけなので、ボケをするのにフリというのは必ずしも必要というわけではありません。

次に。
ご注文はお決まりでショーターイムッ!!フゥ―――ウッ!!
テンション高いなっ!!

「注文をさせる台詞」にしては不適切なのでフリではなくボケになります。
フリはおかしさを発生させてはボケになってしまうので、常識的・現実的な展開(発言・行動)が求められます。

さらに。
(※入店直後、着席前)
ご注文はお決まりでしょうか?
注文が早すぎてクリビツテンギョウだわっ!!

この場合は「ご注文はお決まりでしょうか?」がフリ的なボケになり、「注文が早すぎて~(※「ビックリ仰天」を業界語っぽく言うボケ)」がボケ的なツッコミになります。

ボケ(「ご注文~」)よりも後続のツッコミ(「クリビツ~」)のほうが面白みが増すと、ボケ(「ご注文~」)が次へのツッコミ(「クリビツ~」)のための「フリの役割」という印象を与えます。
これに関してはお笑い論が確立されているわけではないので、どれがフリ・ボケ・ツッコミにあたると思うのかは人によって違うかもしれません。