絵や文章で笑わせるフリップ芸の作り方

絵や文章を書いた紙(フリップ)を使って紙芝居風にネタを披露する「フリップ芸(フリップネタ・めくり芸)」のやり方や作り方をまとめています。

はじめに


これからご覧いただく記事の表記について。
記事中に「(※文字)書く」と「(※絵)描く」の両方を表記すると読みづらくなるため、「書く」で統一しています。
もしフリップ芸をする際に文字ではなく絵を使用する場合は、記事中の「書く」を「描く」という表現に置き換えて解釈していただければと思います。

必要な道具


  • ネタの下書きに使う文房具
  • ネタの仕上げに使う筆記具(+色付けに使用する画材)
  • 紙 or スケッチブック

※ちなみに、パソコンとプリンターを使ってネタを作る場合は、以下の道具が必要になります。
  • パソコン+文書作成ソフト or 画像編集ソフト(+ペンタブレットもしくはスキャナ
  • プリンター+インクカートリッジ
  • インクジェット紙

フリップの種類



一枚の紙(※重ねてセットにする)。
※次のフリップの見せ方は、一番前の紙を本体から外して次の紙を出すか、もしくは別の場所から次の紙を取り出して本体の一番前に置きます。
※「スケッチブック」の紙を一枚ずつ切り離して使うことでもできます(※リングを通す穴が開いていた部分をカットする必要あり)。
  • 本体の途中に追加したい紙があれば入れられる。また、内容の順序を入れ替えられる。
  • 一番前の紙を少しずつずらすことで、次の紙に書いてあるボケ(オチ)までの間を作れる。
×
  • 紙が一枚ずつばらけるので、順序を入れ間違う恐れがある(※紙の裏側に通し番号を書いておく)。
  • 紙の出し入れをするときに位置がずれると整える必要がある。

スケッチブック
複数枚の紙がリング状の留め金でまとめられている。
※次のフリップの見せ方は、見せている一番前の紙をめくり上げて一番後ろに回して次の紙を出すか、もしくは次の紙となる一番後ろの紙を回してきて一番前に出します。
  • 紙がリングでまとめてあるので、順序を入れ間違うことがない。
  • 紙の出し入れをするときに留め金のおかげで位置がずれることがないので整える必要がない。
×
  • ネタに使わなかった紙が余る(※切り離して他に使う)。
  • 紙がリングでつながっているので、途中に追加したい紙があっても入れられない。また、内容の順序を入れ替えられない。
  • 紙を何度もめくっているうちに、リングを通す穴の周辺部分に負担がかかりやぶれてくる。
  • 一番前の紙を少しずつめくって、次の紙に書かれているボケ(オチ)を見せる間を作るという方法ができない。

フリップの見せ方


手に持つ
  • ネタを披露する場所までフリップを置く台を持ち歩く必要がない。
×
  • フリップとの距離が近すぎて、次のフリップを確認しづらい。また、フリップの入れ替え作業が片手のため、やりづらい。
  • 芸人自身が気づかないうちに、持っているフリップがずれる可能性がある。
  • 手がふさがるのでアクション(動き・演技)を付けられない。

台に置く
※台の形状には、床に立てる「脚立式の台」、もしくは机の上に置く「卓上式の台」があります(※卓上式はネタを披露する場所に机を用意する必要があります)。
※小さく収納できる「折り畳み式の台」は持ち運びしやすいですが、軽いため安定性がありません。一方、台座がしっかりしている「固定式の台」は安定感がありますが、小さく収納できないため持ち運びが不便です。
※台に使えそうな道具としては、音楽の楽譜を立てる「譜面台」、美術のキャンバスを立てる「イーゼル」、本を立てる「書見台」などがあります。また、自作の台を作ってもいいでしょう(※いずれも観客から見えやすいよう、フリップを正面に向けられる台を使うことが条件です。斜め上までの角度までしか調整できない台は使えませんが、何かを付け足して角度を調整すると良いでしょう)。
  • フリップを置いている台から離れて見られるので、次のフリップを確認しやすい。
  • フリップを台に置くので、ずれない。
  • 手に何も持たないので、芸人自身がアクションを付けられる。
×
  • ネタを披露する場所までフリップを置く台を持ち歩く必要がある。
  • (※脚立式の場合)しっかり安定する台を使わなければ、フリップを出し入れするときに倒れる。

フリップの追加・撤収の仕方


本体の前後
※本体の一番前からフリップを取る(※結果、次のフリップが見える※追加)。めくったフリップは本体の一番後ろに回すか、もしくは下記「台の上に置く」「下に落とす」(※撤収)。
※本体の一番後ろからフリップを取って(※追加)・、本体の一番前に回す(※結果、前のフリップが隠れる※撤収)。
  • フリップを本体近くで入れ替えするので、観客の視線が安定する。
×
  • フリップを取り扱う作業に手間がかかる。

台の上に置く
※フリップを置くための台(例えば、机)を使う場合。
※次に見せるフリップを置くために使う(※追加)。
※めくったフリップを置くために使う(※撤収)。
  • フリップを取り扱う作業がスムーズになる。
×
  • 台が目立つ
  • ネタを披露する場所に、台を用意する必要がある。

下に落とす
※めくったフリップを他に置いておく場合(※撤収)。
※床に置いた箱の中に入れるか、もしくは床に落とす。
  • フリップを取り扱う作業がスムーズになる。
×
  • 落下するフリップを観客が目で追う可能性がある。
  • 落とした時に、紙が折れる・汚れるなどの恐れがある。
  • 落とし方を工夫する必要がある。
  • 箱を使用する場合、ネタを披露する場所に用意する必要がある。

ネタの書き方


手書き
紙に書く。
  • 準備が簡単。
  • 安く作れる。
×
  • 書くのが大変。
  • 紙が汚れたり破けたりなどすれば一から作り直す必要がある。

パソコンソフト
パソコンソフトを使って、絵や文章・文字などを入力して、プリンターやネットプリントを利用して印刷する。
※パソコン以外にも画像編集ソフトや文章作成ソフトを使えるデジタルツール(タブレット・スマートフォンなど)があれば可能です。
  • 綺麗・見やすい文章を作れる。
  • 広い範囲を塗るのが簡単。
  • 同じ構図(データ)を1つのネタや他のネタでも使い回せる。
  • 紙が汚れたり破けたりなどしても再び印刷できる。
×
  • パソコンやプリンターを取り扱う知識・技術・道具・費用などが必要になる。
  • 大型のプリンターでなければ印刷できる紙のサイズが小さい。

コツ


1-1. 紙は硬め・厚めを使う
柔らかい紙は値段が安いですが、角度をつけると折れ曲がり、ネタが見えなくなる恐れがあります。また、紙が薄ければ、次の紙(ネタ)の内容が透けて見えてしまいます。
(値段が高くなりますが、)角度をつけても折れ曲がらないうえ、紙が透けないようにするためには硬い紙・厚い紙のほうが良いです。
仮に柔らかい紙・薄い紙を使う場合は、紙を一枚一枚厚紙に貼り付けることで硬さ・厚さを持たせられます。ただし、一つのネタを作るために紙の費用が二重にかかります。

1-2. 紙は光沢なしを使う
紙の表面に光沢(ツヤ)があると、照明の光を反射してしまい、紙が真っ白になって見えづらくなります。
照明の光を反射しないよう、光沢なしの紙を選びましょう。

1-3. 紙質に気をつける
紙の材質によっては、表面がツルツルとしていたり、毛羽立つなどして筆記具で書きづらい場合があります。
紙を購入する際は、事前に筆記具との相性をしっかりと下調べをして、(様々なものを試し、)自分に合ったものを探しましょう。

2-1. 線は太く書く
ネタを書くときの線が細ければ、弱よわしくて安っぽい絵という印象を与えます。
線を書くときは太目にしたほうが表現力(迫力)が増してネタが面白くなりやすいです。

2-2. 字は読みやすく書く
手書きで文字を書いた時に汚ければ、観客が字を読みづらく感じます。また、文章の折り返し位置が悪ければ、文脈に違和感を感じさせます。
(※字を書くのが苦手な人が)文字・文章を使ったネタをする場合はパソコンソフトを使ってデザインして、プリンターで印刷したほうが綺麗で読みやすくなります。また、パソコンソフトを使えば、文章の折り返し位置を調整しやすくなります。

2-3. 画力を身に付ける
絵が下手であれば、観客に対して意味が伝わらなかったり、絵として違和感を感じさせます。
絵は上手いほど表現力が増してネタが面白くなりやすいです。

3-1. 紙に触る前は手を洗っておく
手を洗わずに直接紙に触ると、手垢・皮脂・手汗などの影響で変色する(黄ばむ・汚れる)原因になります。
紙に触る前は、手を洗ってタオル(ハンカチ)でふいておき、綺麗な状態にしておきましょう。

3-2. 紙にインデックスを付ける
何枚もの紙を重ねていると、ネタ中に正しい順序でめくっているのか分からなくなる可能性があります。
紙の端にインデックス(タブ)を付けておく(+裏側に通し番号などを書いておく)とめくり間違える可能性を減らせます。

3-3. 紙は保護ケースに入れて運ぶ
ネタを書いた紙を持ち運ぶ際にカバンの中へ直接入れていると、折り曲げ・破れ・濡れ・汚したりなど、損傷の原因になります。
ネタを書いた紙を持ち運ぶ際は、紙が入るサイズの保護ケースに入れましょう。

3-4. 紙を使わないときは正しく保管する
紙を光の当たるところに置いておくと、変色する(日焼けする)原因になります。また、湿気のある場所に置いておくと、ふやけて傷んでしまいます。
紙は光の当たらない場所、湿度が高すぎない場所に保管しておきましょう。

4-1. フリップと観客との位置関係
観客の目線や距離によっては、フリップが見えづらくなります。
観客とフリップとの位置関係を計算・調整しておきましょう。
  • 観客の目線(舞台上で行われているネタを見る or 床で行われているネタを見る)
  • 観客の見方(床に立って見る or 座席に座って見る)
  • 観客の位置(前列 or 中列 or 後列)

4-2. フリップと照明との位置関係
照明の光がフリップに反射すると、フリップが見えづらくなります。
照明の光とフリップとの位置関係を計算・調整しておきましょう。
  • フリップを掲げる位置
  • フリップの角度
  • 照明の距離・向き・明るさ

5. 著作権・肖像権を守る
インターネット上や雑誌などに掲載されている画像や文章を無断で使用すると、著作権や肖像権など法律上の問題でトラブルになる恐れがあります。
トラブルを避けたり、ネタを商品化して収入を得たいのであれば、オリジナルの絵や文章を使用するようにしましょう。

フリップの役割


フリに使う
フリップにフリとなる絵や文章を書きます。
フリップに書かれた絵を説明したり、文章を読み上げながらフリを作り出し、この後に芸人自身がボケて観客から笑いを誘います。
つまり、フリップがフリ担当のような役割を果たし(※説明・読み上げているので芸人自身もフリ担当)、芸人自身はボケ担当になります。
※フリップはテーマ(お題)が書かれているだけなので面白さはありません。

ボケに使う
フリップにボケとなる絵や文章を書きます。
フリップに書かれた絵や文章でボケを作り出し、そこに芸人自身がツッコミを入れたり、かぶせて観客から笑いを誘います。
つまり、フリップがボケ担当のような役割を果たし、芸人自身はツッコミ担当、もしくはかぶせるボケ担当になります。
※フリップの内容も芸人も面白さを作り出すので、Wボケ(※コンビで二人ともボケ担当)のようになります。

設定


設定を付けない
ネタをするときに、キャラクターやシチュエーションを付けずに行う。
普段の話し方、普段の格好、観客と同じ環境でネタを行う。

設定を付ける
ネタをするときにキャラクターやシチュエーションを付けて行う。
言葉遣い、話す内容、見た目(衣装・メイク・動き)に特徴を付けたり、舞台設定(例えば、学校で授業を行っているという状況)を付けて行う。
ネタのテーマに合わせたキャラやシチュエーションを付けるか、もしくは芸人の個性の弱さをフォローする単なるキャラ付けや、その状況下でフリップを使っているのはおかしいとなる舞台設定をする。

ネタのパターン


フリとなるフリップ≫フリップと芸人によるボケ
  1. ネタの説明をする
  2. フリとなる紙を見せる
  3. フリとなった紙の説明をする
  4. ボケを言いながらボケとなる紙を見せる
  5. ボケの説明をする(ツッコミやボケのかぶせ)
※ボケとなる紙を使いながら芸人自身も笑いを誘います。

フリとなるフリップ≫芸人によるボケ
  1. ネタの説明をする
  2. フリとなる紙を見せる
  3. フリとなった紙の説明をする
  4. ボケる
  5. ボケの説明をする(ツッコミやボケのかぶせ)
※ボケるときはフリップを使わずに芸人だけで笑いを誘います。

フリとなる発言・行動≫(芸人+)フリップによるボケ
  1. ネタの説明をする
  2. フリとなる台詞を言う・行動をする
  3. (ボケを言いながら)ボケとなる紙を見せる
  4. ボケの説明をする(ツッコミやボケのかぶせ)
※フリは芸人自身が入れます。

フリップと芸人によるボケ
  1. ネタの説明をする
  2. ボケを言いながらボケとなる紙を見せる
  3. ボケの説明をする(ツッコミやボケのかぶせ)
※フリは無しにします。

※以上の項目にある「説明をする」の部分を省略しても構いません。ただし説明を省略すると淡々とネタを進めることになります。
※ネタの中盤から終盤にかけて説明を省略し、畳みかけるようにボケて観客から笑いを誘うといいでしょう。
※ボケとなる紙を見せる前に、「それがこちら」というような観客を引き込む台詞を入れても構いません。

あとがき


フリップ芸は内容がありきたりや地味になったり、展開が単調になりやすいという欠点があります。
フリップ(ネタ)の内容にどのような個性を出すのか?芸人自身にどのようなキャラクターやパフォーマンスを付けるのか?が面白さの鍵になります。

ちなみに、絵を描くフリップ芸ができる人は、イラストレーターや漫画家としても(SNSで)活動できます。
場合によっては、出版社や企業から声がかかって絵を描くお仕事をもらえるかもしれません。鉄拳さんのように。