シビアな観客を退屈させないネタの展開法

ネタをするときにダラダラと変化のないストーリーを繰り広げていては観客が飽きてしまいます。
ネタの展開を盛り上げるためにはストーリーの内容に「起承転結」を付けることが必要になります。

「起承転結」の作り方


  • 起承転結 - Wikipedia
  • 三幕構成 - Wikipedia


  • どのようなネタ(エピソード)を行うかを説明する部分です。
    ※「起」の部分を謎めいた内容にして、「承」の部分で明かすという方法もあります。
    ※ここに「出オチ」や「つかみ」を入れます。

    ※漫才やピン芸(※漫談など)の場合、舞台に登場した後に観客と絡むことができます。
    客層(※年齢、性別)に合わせたトークをすることで観客の緊張感を取り除くことができます。
    また、時事ネタをテーマにしたトークをするなど、アドリブ(※実際にはネタ前に即興で作っておく)を入れることもできます。
    観客がこう思っているだろうということを指摘したり、あるあるネタ的なことを言います。
    できればその後のネタに関係するトークで始めるのが理想です。
    コントの場合は観客と絡むことはありません。
    ただし歌手のような設定の場合は、実際の観客を設定の中の観客とすることはできます。
    また、事務所・主催者が観客に絡んで笑いを誘うことを禁止している場合もあるので注意しましょう。


    ストーリーを本格的に始めます。
    「起」よりひねりを効かしたレベルの高いボケ方をしたり、「起」に使ったボケ方やツッコミ方を応用します。


    ストーリーもある程度進んできて、観客がネタに慣れてくる頃です。
    ネタの展開に「変化を付ける」ことで、さらに観客を引き付けます。
    ※「転」は、必ずしも必要ではないので、この「転」を無しにして「承」を続けても良いです。


    ストーリーの終わりで「オチ」を付けます。

    作る時のコツ


    ネタの時間が長ければ長くなるほど観客が飽きます。
    起承転結の付け方の時間配分をうまく調節する必要があります。
    ※舞台やネタ番組では10秒ぐらいや1分ぐらいの短いネタ、逆に(舞台では)10分を超える長いネタが要求されることがあります。
    『M-1グランプリ』では、ネタの披露時間が1回戦は2分、2回戦と3回戦は3分、準決勝と決勝が4分となっています。
    『キングオブコント』では、1回戦は2分、2回戦と準決勝は3分、決勝は5分(2009年は4分)となっています(※変更される可能性があるので注意)。

    展開の仕方


    1. 意外性を強める
    ネタの「起承転結」の「起・承」までは意味が伝わりやすい内容(ボケ方・ツッコミ方)にしておき、「転」で意外性(違和感)を強めるため、シュールな内容(常識離れや現実離れをしたボケ方・ツッコミ方)で面白さを増幅させます。
    面白さというのは意外性が強まるほど大きくなりますが、最初から意外性が強すぎると観客が理解しきれません。
    そこでネタの「起・承」までは「あるあるネタ」や「常識的・現実的な大げさ」にして、「転・結」で「非現実的・非常識的な大げさ」といった感じにします。
    • 常識的・現実的: 「友達の家につくのが遅れそうだから走って行った」
    • 大げさ・小: 「友達の家につくのが遅れそうだから飛行機で行った」
    • 大げさ・中: 「友達の家につくのが遅れそうだから背中にロケットを付けて飛んで行った」
    • 大げさ・大: 「友達の家につくのが遅れそうだからオナラで空を飛んで行った」

    2. 速度を速める
    ネタの「起・承」は結果的に「転」より間を開けた間隔で笑いを誘い、「転」で笑いを誘う(ボケる)回数を増やして面白さを加速させます。
    初めからネタの速度が速いと観客がネタの勢いについて来れないので、ネタの最初は落ち着きながら始めるということです。
    あと、話し方の速度を速めるという方法もあります。

    3. 五感へのアプローチを変える
    「起・承」の時に「言葉」をメインにしてボケ・ツッコミをしていた場合は、「転」で「動き」を使ったボケを多くします。
    ネタの「起・承」は「言葉」で笑いを誘って「聴覚的な笑い」を作り出し、「転」で「動き」を付けた「視覚的な笑い」も足して分かりやすい面白さを増幅させます。
    ネタに動きを付けたことで単調な言葉の内容から躍動感ある内容に変化することで観客の気分を盛り上げることができます。
    ※逆に、激しい動きから言葉に変えて雰囲気を変える方法(シリアス路線に変更する方法)もあります。

    4. テンションを変える
    声の大きさ、体の動きの大きさ、言葉遣いなどを変えます。
    例えば、ゆっくりと落ち着いた話し方でネタを始め、「転」で「声の大きさ」「身振り手振りの大きさ」「言葉遣い」を変えて激しさを出して面白さを増幅させます。
    • 声: 「~じゃないですか」 > 「~じゃないですかっ!!」
    • 身振り手振り: 「~じゃないですか(相方の肩に手を置く)」 > 「~じゃないですか(相方をお姫様抱っこ)」
    • 言葉遣い: 「~じゃないですか」 > 「~だろーがっ!!」

    5. 心情に変化を付ける
    ネタの序盤でネタのやり取りに平均的なイメージを作り出し、「転」で観客を不安や疑問に思わせるイメージに変えて終盤までを釘づけにします。
    それまでのネタの雰囲気(流れ)が一転すると観客は変化に気づいてストーリーにくぎ付けになります。
    例えば、それまで笑いを誘っていた流れとは一転して「転」で笑いを誘うのをやめて「喜怒哀楽」を強調した展開を起こします。
    内容としては、シリアスな展開やストーリーを展開させる内容にします。

    6. 人間関係に変化を付ける
    人間関係(例: 仲の良さ、上下関係など)を変化させます。
    ネタの「起・承」でキャラクターのやり取りに平均的なイメージを作り出し、「転」で観客を不安や納得感に思わせるイメージに変えて終盤までを釘づけにします。
    例えば、それまで仲が良かったキャラクター同士が一転して不仲になり、逆に不仲だったキャラクターが仲良くなるなど「横の関係」に変化を起こします。
    また、上下関係があったキャラクター同士が一転して立場が入れ替わり、逆襲を始める滑稽さなど「縦の関係」に変化を起こします。

    7. BGMに変化を付ける
    音響設備が使える舞台で、BGM(音楽)を変化させます。
    ネタの「起・承」でBGMに平均的なイメージを作り出し、「転」でそれまでとイメージに変えて気分を変えます。
    例えば、BGMを使う・別のものと変える・止める、音量を下げる・上げるなどをして、舞台の雰囲気に変化を起こします。

    8. 舞台裏に一旦帰る
    ネタの「転」で舞台裏に行き(※ストーリー上は別の場所に行く展開)、「結」でオチのボケのセリフを言うために舞台に戻ってきます。
    終盤で舞台上から人が減る(人がいなくなる)ことで流れを一旦切り、それまでの雰囲気との違いを出します。

    9. 最初に戻る
    ネタの流れを一番最初に戻します。
    最初のテーマを再度相方にフリを入れて流れを仕切り直します。

    10. 最後だと示す
    並列(列挙)的にネタを見せるときに、ラストのネタになったときに「最後になりました」「これで最後です」「最後に」などと次のネタが最後だということを前もって言っておきます。

    理想的な展開
    「起承転結の」「転」の所にネタ中で一番面白いボケ(ひねりの効いたボケ)を入れておきます。
    ネタを徐々に盛り上げていって、「転」でドカンと大きな笑いを取ると観終わった観客の満足度が高まります。

    また、「転」が強調されていないネタ、もしくは「結」の「フリ」「ボケ」「ツッコミ」がそれまでの流れとは違うようなネタにしないと「オチ」が突然現れたように感じます。
    要するに、「ここからオチへと向かう展開ですよ」「ここがオチですよ」と感じさせないままネタが終わりを迎えるので「えっ!今ので終わったの?」といったように観客が戸惑います。

    用語


    ネタの「起」の部分を「つかみ」と言い、「承(・転)」を「本ネタ」と言い、「結」を「トリネタ」と言います。
    「つかみ」は最初に観客の心をつかむ、「本ネタ」は話の根本(メイン)、「トリネタ」はトリ(ラスト)といった感じです。
    「つかみが長い」と言われたとしたら、例えば漫才中にコントをする場合はコントに入るまでの説明の部分(「起」)が長いということになります。
    「つかみ」が長い(1分を超えたりする)と、早く面白い展開が見たい観客にとっては退屈な時間が続くことになります。
    ただし10分も超えるようなネタをする場合は、ショートネタ(1分ぐらいのネタ)に比べ「起」の部分が長くなります。
    ちなみに、テレビに出演するためのネタを作る場合、「つかみ」が長いとショートネタに向きません。