ピン芸ネタの作り方

一人でネタを行うピン芸。
ピン芸をするといっても漫才やコントとは違い種類がたくさんあるのでなにをして良いのか迷ってしまうと思います。
そこでピン芸をタイプ別に長所・短所、作り方や実際に行っている芸人さんを例を挙げながら紹介します。

1. ブリッジ


説明
台詞(ギャグ)を言った後に、ネタ(ボケ or ツッコミ)を言います(※動作を付けても構いません)。
※「ギャグ」としていますが、ネタを作った時点ではギャグではなく、結果的にネタの人気が出れば世間からギャグとして扱われる台詞です。もちろん初めからギャグとして取り入れても構いません。

長所
ネタの流れがパターン化するので作り方が簡単なうえ、面白さが伝わりやすく書籍化されやすいので人気が出れば収入を得られます。

短所
簡単なやり方なのでダメ出しや批判をされる可能性があります。

芸人の例
  • だいたひかる「どうでもいいですよ」「私だけ」
  • ヒロシ(「ヒロシです…」)
  • 長井秀和(「間違いない」「気を付けろ」)

作り方
  1. ブリッジとして台詞(ギャグ)や動作を考えます。
  2. 自分や他人に関わる悪い印象を感じるネタを言います。もしくは観客に「確かにあるある!」「確かにそうだな!」と思わせられるあるあるネタを考える。
  3. 1と2を交互に繰り返すことで完成です。
※1と2はどちらを先に行っても構いません。
※だいたひかるさんの場合は「私だけ?」「ど~でもいいですよ」、楽しんごさんの場合は「やっちんちん」「ドドスコスコ…ラブ注入」というように、一つのネタで複数のブリッジを使い分け、途中からネタのやり方を変える方法もあります。
※小島よしおさんのネタ「そんなの関係ねぇ」のように、ネタの最初にコントのようなものを入れる方法もあります。

ブリッジの入れ方
  • 自分(台詞や動作)
  • 小道具(小道具で音を鳴らす)
  • 音響(音響機器を使い、ナレーション・曲・音を流す)
  • 混合(上記のいずれかを組み合わせる)

ネタの内容
  • 被害・自虐・自損(自分が遭遇した悲しいけど納得感のある話, 自らの欠点を告白する納得感のある話, 自ら起こしたトラブルだけど納得感のある話)
  • 毒舌(有名人や一般人に関わる納得感のある悪口)
  • あるある(日常で起こる個性的な話)

※以降の他の項目のネタでも、複数の短いエピソードや話で構成すれば、「ブリッジ」を入れるネタにできます。

2. 漫談


説明
観客に向かって動作を付けながらストーリーを語り、(ボケたり)ツッコミを入れます。

長所
話の構成が「すべらない話」と似ているので、人前でエピソードを話す話術力が身に付きます。

短所
笑いどころ(ボケ)に至るまではストーリーを語るだけなので、ダラダラした展開になりがちです。

芸人の例
  • 濱田祐太郎(視覚障害エピソード)
  • あべこうじ
  • にしおかすみこ

作り方
面白い体験エピソードや話のテーマなど実話を用意。もしくは面白い展開やオチのある創作のストーリー(※あるあるネタでもOK)を考えます。
話しながらストーリーや話のおかしなところに(納得感のある)ツッコミを入れるセリフを加えます。要は一人でストーリーや話を語って(おかしな発言や演じることでボケ)、そこに自身でツッコミを入れる「一人漫才」のような感じです。


ツッコミの入れ方
  • ※通常(おかしいことを話したり演じ、そこにツッコミを入れる)
  • 気付かせ(前もって話を行い、その中に隠されたおかしなことを観客に気づかせるツッコミを入れる)
  • 言い当て(話の内容に対して観客がこう思っているだろうなという時に、観客に対してツッコミを入れる)

3. コント


説明
ストーリーを演じながら、ボケたりツッコミを入れます。

長所
劇的で、盛り上がる展開にできます。

短所
キャラになりきるコントをしない限り、地味になります。

芸人の例
  • 平野ノラ(バブルOL)
  • あばれる君
  • サンシャイン池崎(絶叫)
  • 友近(一般人いるいる)
  • 狩野英孝(ホストキャラ)

作り方
ストーリーを考え、そこにボケやツッコミ、ギャグを取り入れ、演技をします。

コントのやり方
  • 演技(キャラ)をメイン
  • セリフ(特定のボケ方やツッコミ方)をメイン
  • 照明(暗転)を使って複数のシチュエーションを列挙して見せる
  • 音響(ナレーションや曲)と掛け合う

キャラの付け方
  • みじめ(被害を語る・自虐を言う・自損的な人物を演じる)
  • ウザい(加害行為をする・皮肉を言う・利己的な人物を演じる)
  • 一般人いるいる(確かにそういう人いるなと思わせる)
  • 職業人ものまね(何かの職業を真似る)
  • 有名人ものまね(有名人を真似る)

4. 歌


説明
歌うネタをします。
※振り付けを付ける場合があります。

長所
ネタの着うた(着ボイス)やCD・ダウンロード販売ができるので、人気が出れば収入を得られます。

短所
歌唱力や作曲センスが必要です。

芸人の例
  • はなわ(ギター演奏+赤Tシャツ+とんがりヘアー)
  • AMEMIYA(ギター演奏+白スーツ)
  • ムーディ勝山(アカペラ+白スーツ+マイク)

作り方
面白い歌詞・曲を考えます。
主にギターをひきながら歌う人が多いですが、なくてもBGMに合わせて歌うことができます。
吹奏楽器は息を吹いている間は歌えなくなりますが、うまく応用すれば笑いが誘えます。

  • アカペラ(声のみ)
  • 弦楽器(ギター・ウクレレなど)
  • 鍵盤楽器(エレクトーン・ピアニカなど)
  • 打楽器(タンバリン・鈴・カスタネットなど)

歌詞の付け方
  • みじめ(被害・自虐・自損的な内容)
  • ウザい(皮肉的な内容)
  • 一般人あるある(確かにそういう人いるなと思わせる内容)
  • 職業人あるある(何かの職業に関する個性的な特徴を取り上げた内容)
  • 有名人あるある(有名人に関する個性的な特徴を取り上げた内容)

5. ダンス


説明
踊るネタをします。
※歌を歌う場合があります。

長所
踊り好きな人向け。

短所
  • 踊るので疲れます。
  • 市販の曲を使う場合は著作権の問題が発生します。
  • 音楽を流す場合は音響機器が必要になります。

芸人の例
  • 芋洗坂係長(知名度のある曲を流しながらキレキレのダンス)
  • エド・はるみ(オリジナル曲を歌い踊る)

作り方
  • 音楽を流しながらボケ的な踊りをする。
  • 替え歌を流しながらボケ的な踊りをする。
  • 自分で歌いながらボケ的な踊りをする。
  • 道具を演奏しながらボケ的な踊りをする。

ダンスのやり方
  • ダサい(動きが変)
  • 速い(動きがキレキレ)

6. フリップ


説明
紙やスケッチブックなどに文章を書いて・絵を描いて、それでボケたりツッコミを入れたり、フリにします。

長所
文字や絵などを使ったボケができるので、シュール(現実離れした展開)を目で見える形にしたネタができます。

短所
紙・スケッチブックなどを買う費用が必要なうえ、絵の才能が必要です。

芸人の例
  • バカリズム(フリップを使用)
  • 厚切りジェイソン(ホワイトボードを使用)

やり方

7. 物ボケ


説明
物を使ってボケます。

長所
個性的なネタができます。

短所
移動時に物を持ち運ぶ手間がかかります。

芸人の例
  • ゴー☆ジャス(※地球儀を使用し、芸人自身にキャラを付ける)
  • もう中学生(※段ボールで作った大きな紙芝居)

作り方
ボケ(オチ)になる物を用意して、それに合わせたセリフ(ストーリー)を考えます。
※場合によっては装置的な物を作成し、操作して動かします。

ボケ・オチのやり方
  • ※通常(おかしい物・おかしな状態になった物を見せて、そこにツッコミを入れる)
  • 変化(装置を使って物をおかしな状態にさせて、そこにツッコミを入れる)
  • 気付かせ(前もって物を見せて、その中に隠されたおかしなことを観客に気づかせるツッコミを入れる)
  • オチ付け(前もって物を見せて、話の最後に物でオチをつける)

8. ものまね


説明
人物や職業、人間以外の生物、非現実的なものなどの真似をします。

長所
どこでもネタができます。

短所
才能が必要です。

芸人の例
  • 人物: 博多華丸(※児玉清)、じゅんいちダビッドソン(※本田圭佑)、はるな愛(※松浦亜弥)
  • 職業: 柳原可奈子(※ショップ店員)、浅越ゴエ(※ニュースキャスター)、大西ライオン(※ミュージカル「ライオン・キング」)

やり方

9. 特技


説明
一風変わった特技をします。

短所
練習・トレーニング、体質・栄養管理、才能などが必要です。

芸人の例
  • アキラ100%(※おぼんを扱う技術)
  • こまつ(※キーボードを演奏する技術)
  • とにかく明るい安村(※ぜい肉)
  • なかやまきんに君(※筋肉)

作り方
何かしらの特技(技術的、肉体的、発想的にスゴイ、もしくはおかしいと思わせる)ができるように練習・トレーニング、体型にします。

やり方
  • 体質(太りやすい・筋肉質・軟体)
  • 技術(手先の器用さ・リズム感)
  • 発想(正常な状態を異常に見えたり聞こえるようにする・異常な状態を正常に見えたり聞こえるようにする)

10. 観客との絡み


説明
観客(・共演者)を交えたネタをします。

長所
観客が何を言い出すのか分からないので、ハプニングを期待して盛り上がります。

短所
観客のアドリブに対応するのが難しいです。

芸人の例
  • 桜塚やっくん(※観客にボケさせて、そこにツッコミを入れる)
  • ハロー植田(※観客からお題をもらって、B'zの歌で返答する)

作り方
観客に対してフリを入れてボケさせ、それに対してツッコミを入れる。もしくは観客にフリを入れてもらってボケます。
※観客に変なことを言わせるようなフリを入れると、危なっかしい返答から笑いを誘えます(※不適切な発言をさせようとすると、問題になる恐れがあるので、要注意)。
※どんな観客の反応が来ても返答できるように様々なパターンを用意しておきましょう。

観客にしてもらうこと
  • フリ(お題をもらう※普通のテーマ・おかしなテーマを投げかけてもらう)
  • ボケ(ボケてもらう※おかしな発言になるようなことを言わせる)
  • ボケ的なツッコミ(ツッコミを入れてもらう※注意・批判・毒づいてもらうなどを言わせる)

以上、ピン芸ネタのタイプでした。

複合タイプ 一覧


芸人さんの中には、ここまで紹介した様々なネタのやり方を複数混ぜたネタをされている方もいます。

ダンス×漫談
  • いとうあさこ
  • ゆってぃ

ブリッジ×漫談
  • ダンディ坂野
  • スギちゃん

ものまね×漫談
  • じゅんいちダビッドソン

ブリッジ×歌
  • 波田陽区

ブリッジ×ダンス
  • 小島よしお

コント×ものまね
  • どきどきキャンプ岸(※ジャック・バウアー)

フリップ×ものまね
  • 夙川アトム(※業界人)

ダンス×ものまね
  • 渡辺直美(※ビヨンセ)

余談


コンビで活動しながら漫才やコントをしていない芸人さんがいます。
大抵はピン芸のネタのやり方をされています。

ブリッジ×(ショート)コント
  • ザ・たっち

ブリッジ×ダンス×歌
  • オリエンタルラジオ

コント×ダンス×歌
  • ジョイマン
  • 藤崎マーケット

ブリッジ×フリップ
  • いつもここから

観客セッション×ブリッジ
  • Wコロン

以上。
上記を見る限り、言葉をリズムに乗せるネタが多いですね。

ネタの構造 その1


主観目線
芸人は観客と同じ空間にいて、観客に対して話し掛けるよう、何かを聞いてもらったり見てもらったりする。
観客は自分の目線でネタを見る。
主にコント以外のネタ。特に漫談・フリップ。

客観目線
芸人は観客とは別の空間にいるつもりで、観客側に誰かがいるという設定で劇を演じる。
観客は観客側にいる誰かの目線でネタを見る。
主にコント。

第三者目線
芸人は観客とは別の空間にいるつもりで、周囲に誰かがいる・連絡手段(ケータイなど)で話す・独り言(自問自答)などで劇を演じる。
観客は人物の動向を垣間見る形で劇を見る。
主にコント。

ネタの構造 その2


ストーリー型
ネタの中に物語がある。
例えば、コントや漫談、歌ネタなど、物語を演じるか語る(歌う)などをしてネタを行います。
長所は、後半にかけてストーリーを盛り上げることができます。
短所は、ボケに至るまでセリフを入れるため、ネタの構成次第ではゆるい展開になります(※特に歌ネタ)。

お題型
ネタがお題(フリ)とボケだけで構成されている。もしくはお題(ボケ)とツッコミ。
例えば、一言ネタ(ブリッジ)やフリップネタ、物ボケなど、ストーリー性はなく、フリとボケ(ボケとツッコミ)を交互に繰り返してネタを行います。
長所は、どこでボケているのかが明確なため、一発ごとのボケに威力があります。
短所は、ネタのやり方が単純なため、他人のネタと似やすいです。

自由型
ネタがボケだけで構成されている。
例えば、言葉遊び(例: 世界のナベアツさんの『三の倍数ネタ』)。『お題型』(フリとボケを交互に繰り返すわけ)でもなく、『ストーリー型』のような物語があるわけでもないネタを行います。
長所は、パフォーマンス力や発想力で見る者を圧倒できます。
短所は、アイデアやパフォーマンス力が求められるため、そう簡単には作れません。

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ネタの構造 その3


フリ・ツッコミ型
ネタ(セリフ)の中に前置きとしてフリ的なボケを入れ、そこにツッコミを入れる。
フリ的なボケを入れて、ボケ的なツッコミを入れる。
フリは芸人のセリフ以外の何かで入れる、もしくはセリフの中に入れる(※以下、同様です)。

フリ・ボケ型
ネタ(セリフ)の中に前置きとしてフリを入れ、それでボケる。
(ボケ的な)フリを入れて、ボケる。

ボケ型
ネタ(話)の流れの中でボケる。
ネタ(セリフ)の中でボケる。

ピン芸ネタを作るコツ


キャラクターを作る
1人で話していても淡々として地味な印象を与えるので、「普通のトーク部分」にキャラを付け加えることで面白みを付け加えられます。
話し方(語気を強める、リズムに乗せる)、BGM・歌(音響・楽器を使う)、動き(アクション・ポーズを付ける)、衣装(スーツ、職業服、奇抜な衣装を着る)などを取り入れます。
例: 小島よしお(カラフルなパンツ)、とにかく明るい安村(ピンクのパンツ)、スギちゃん(ハーフのジーンズ・Gジャン)、AMEMIYA(白いスーツ)、厚切りジェイソン(フレーズの時に大げさなアクション・ポーズ)、長井秀和(黒いスーツ)

フレーズを決める
特定のフレーズ(短めのセリフ)を何度も使うことで、定期的に観客の脳裏に焼き付けさせることにより、安定した笑いを誘うことができます。
一度ウケたフレーズを次回からのネタでも使うことで、すでに笑いを取ったことによる「好意」によって笑いを取りやすくなります。
例: 小島よしお(そんなの関係ねぇ)、とにかく明るい安村(安心してください。はいてますよ)、スギちゃん(ワイルドだろぉ)、AMEMIYA(冷やし中華はじめました)、厚切りジェイソン(ホワイ ジャパニーズ ピーポー)、長井秀和(気を付けろ、間違いない)

ネタの構造
意外性のあるボケをしてもツッコミを入れてくれる相方がおらず面白くなりにくいので、ボケだけでも面白さが成立するネタをベースに作ることで、面白さが伝わりやすくなります。
  • 問題(自分もしくは他人、登場人物に関わる受難・自滅エピソードを話す。もしくはそれらを批判する)
  • 納得(確かにそうだな!と思わせられる展開にする)

例: 小島よしお(問題: トラブルに巻き込まれたエピソード)、とにかく明るい安村(納得: 確かに全裸に見える)、スギちゃん(問題&納得: 自滅的な行動でも、確かに言われる通り)、AMEMIYA(問題: トラブルのエピソード)、厚切りジェイソン(納得: 日本のおかしいエピソードでも確かに言われる通り)、長井秀和(問題: 誰かの問題点を指摘)

ネタの意味
フレーズには前向き(肯定・断定)否定(警鐘・疑問)な内容が笑いを誘いやすいです。
観客(視聴者)が日常で使いたくなる言葉が覚えてもらいやすいです。
例: 小島よしお(問題に対して前向きに「そんなの関係ねぇ!)、とにかく明るい安村(何も着ていないように見えることに対して前向きに「安心してください!」)、スギちゃん(問題に対して前向きに「ワイルドだろぉ!」)、AMEMIYA(問題に対して強引に前向きに「冷やし中華はじめました!」)、厚切りジェイソン(問題のある日本語に対して警鐘として「ホワイ ジャパニーズ ピーポー!」)、長井秀和(問題に対し警鐘として「気を付けろ!」、問題への持論を肯定する「間違いない!」)

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ピン芸ネタのコツ



技術自体は相方がおらずツッコミがないので、ボケだけで成立するネタを作る必要があります。
あとはキャラクターを付けて話し方自体に面白みを付けるとネタが地味になりにくいです。
ボケの前にフリを入れておくケースもありますね。

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