ネタの作成手順付き!お笑い台本の作り方

お笑いネタの台本を作る作業を説明します。
芸人は、短期間で新ネタを要求されることもあるので作業時間の短縮が必要です。
これさえ覚えておけば、迷うことなくネタを作る工程がわかります。

台本の作り方 事前準備編


まず、ネタを作り始める前に、ネタを披露する環境を確認しておきましょう。
作成したネタが観客や会場などに合わず、一から作り直しという事態もありえます。
会場のスタッフに確認したり、実際に会場へ行って自分の目や耳で確認しましょう。

  • 客層(どのような年齢・性別・職業の観客が見るのか?)
  • 広さ(遠くの観客まで聞こえるのか?見えるのか?動き回れる広さはあるのか?)
  • 音響(音響設備を使った演出をできるのか?)
  • 照明(照明設備を使った演出をできるのか?)
  • 音声(マイクやスピーカーを使って声を大きくできるのか?)
  • 時間(自分たちが使える時間はどれくらいあるのか?)
  • 条件(やってはいけないことはあるのか?)

台本の作り方 ストーリー編


1. 舞台とテーマを考える
はじめに、「舞台」と「テーマ」を決めましょう。

舞台は「学校」「会社」「道端」など、どのような場所なのか?を考えます。
次にテーマとして、「先生が生徒に勉強を教える」「部下が上司にパソコンの使い方を教える」「主婦が悪者から被害に遭う」など、どのような出来事が起こるのか?を考えます。
※ネタは、芸人と観客が同じ空間で行うネタと、芸人が舞台上で劇を演じて別の世界を作り出すことによって観客のいる空間と舞台上の空間を疑似的に分けるネタの2通りあります。
しゃべくり漫才(※ネタの途中でコントを行わない漫才)や、コント以外のピン芸をするときには「舞台」を設定しないこともあります。
ただし「話の内容の舞台」として必要であれば設定しましょう。例えば、「学校」をテーマでしゃべくり漫才を行う場合。
※テーマは「出来事」以外にも「話題(※トークをメインとしたネタを行う場合)」や、「題目(※お題に沿ったネタを行う場合)」にすることもあります。

「場所」としては、現実的な場所から非現実的な場所まで、様々な段階があります。
  • 行ける場所(身近な場所。例: 本屋)
  • 行けそうにもない場所(実在しているが無縁。例: 首相官邸)
  • 絶対に行けない場所(実在しているが行けない。例: 月)
  • 空想上の場所(実在していない。例: カキクケ国)

「テーマ」も同様です。
  • やれること(誰でもできる。例: 書店員から本を買う)
  • やられていること(一部の人のみできる。例: 首相秘書官と会話する)
  • やれないこと(誰もできてない。例: 宇宙移住業者と契約)
  • 創造上の行為(誰もできない。例: カキクケ語を話す)

「舞台」「テーマ」が決まったら、「そういうことあるある!」「確かにそうだな!」など「共感や納得感を作り出すこと」がネタ作りの最大のポイントです。
例: 「コンビニ」で「買い物をする」に設定

2. 役割を考える
「役柄」と「担当」を決めます。

役柄とは、(1)で決めた舞台に合った「職業」です。
担当とは、ネタをするうえでの役割(フリ担当・ボケ担当・ツッコミ担当)です。
※ピン芸では、一人で複数の役や担当をすることもあります。例えば、自分でフリを入れて自分でボケる場合。
※しゃべくり漫才やピン芸では「役柄」を設定せずにネタをする場合もあります(※ただし、しゃべり方に特徴を付けてキャラを作ることはあります)。

例: 「お客役(フリ&ツッコミ担当)」と「店員役(ボケ担当)」に設定

3-1. あるあるな言葉を考える
設定した「舞台(1)」の状況で、「よくある言葉」を考えます。
「舞台」というより「テーマ」に関する「やり取り」を考えたほうが思いつきやすいでしょう。
「確かにそういうこと言うよな~」という日常で聞く個性的なセリフをたくさん思い出しましょう。
個性的な言葉ほどあるある度が増し、面白さが出ます。
  • 先生の基本(「出欠を取ります!」)
  • あるある度・小(「2月4日だから出席番号24番、読んで!」)
  • あるある度・大(「『はい。』は一回でよろしい!」)

3‐2. あるあるな行動を考える
設定した「舞台(1)」で「よくある行動(状態・状況)」を考えます。
確かにそういうことあるよな~、という日常に起こる個性的な行動をたくさん思い出しましょう。
個性的な行動ほどあるある度が増し、面白さが出ます。
  • 本屋の基本(立ち読みをする)
  • あるある度・小(トイレに行きたくなる)
  • あるある度・大(読みたい本が隣の人の前にあって取れない)
  • ありそう(隣り合った男女が同じ本を手に取る)
※発言や行動をとる際に、良くも悪くも感情の揺れ動きが大きいほどあるある度が高まります。

3‐3. あるあるな展開を考える
設定した「舞台(1)」で「よくある展開」を考えます。
確かにそういうことあるよな~、という日常に起こる個性的な出来事をたくさん思い出しましょう。

3‐4. 似た事象のあるあるを考える
設定した「舞台(1)」で「よくある行動(状態・状況・展開)」を考えるときに、「似た事象」のあるあるを考えます。
例えば、『「コンビニ」で「買い物をする」』という設定をしていても、『「○○※コンビニ以外のお店」で「買い物をする」』という考え方をします。
似た事象であれば応用が利くので、少しずらしたボケを考えることができます。

「3」の作業で「あるある」をできるだけ(個性的なものを)たくさん書き出します。
この「あるある」を使ってストーリーを作りつつ、「あるあるネタ」で笑いを誘ったり、あるあるな流れから観客に先入観を作り出して裏切るボケを作るようにします。
コントやピン芸ではあるあるな物を製作し、小道具として使うこともできます。

台本の作り方 構造編


1. ボケ方・ツッコミ方を考える
ボケ担当の「ボケ方」、ツッコミ担当の「ツッコミ方」を考えます(※必要であれば、フリ担当の「フリ方」も考えます)。

例: ボケ担当が店員役で「おかしな発言をしたり行動をする」
例: 「3段オチ」「天丼」「のりツッコミ」など、笑いを誘うテクニックを用意

2. やり取りの骨組みを考える
ボケ担当とツッコミ担当との「やりとりの仕方」を決めます。
人気のお笑い芸人になるためには、「骨組み」が必要になります。
特徴(個性)のないネタは観客が覚えにくいうえ地味になるので、必ず「骨組み」を入れるようにします。

※骨組みを考えるうえで重要なのはテクニックです。
ネタ中のボケ方やツッコミ方に色々なテクニックを使う、もしくは特定のテクニックだけにしぼって使うのかを選びましょう。
例えば、サンドウィッチマンさんの漫才のようにひねりの利いたボケやツッコミを使う「いろいろなテクニックを使う」、もしくはアンジャッシュさんのコントのようにまったく別のシチュエーションの二つがうまくかみ合っていくような「一つの展開」で通すなどのようにします。

例: ツッコミ担当がボケを指摘して、続けて面白いツッコミを入れる

台本の作り方 応用編


肉付けを考える
ネタを行う「持ち時間」に合わせて「起承転結」の時間配分を調節しながら、ストーリー(肉付け)を作ります。

「骨組み」はネタの固定的な部分で、パターン化したやり取り(特徴的なフリ方・ボケ方・ツッコミ方)や、起承転結的な展開の部分です。
そこに新しいネタを作るときに、ストーリー(舞台・テーマ)を肉付けすることで完成します。
例えば、COWCOWさんのネタ『あたりまえ体操』であれば、「♪あたりまえ~、あたりまえ~、あたりまえ体操~。○○て、○○ると、○○!あたりまえ体操~」の○○以外の部分が骨組みです。
そして○○の部分が肉付けです。

また、新ネタにチャレンジするときに、骨組みを変更することもあります。
COWCOWさんは『あたりまえ体操』以外にも『アイアンメイシン』というネタにもチャレンジされています。
ネタが変われば骨組みを一から作り直す必要があります(※起承転結的な部分はパターン化できます。例えば、起承転結の起であるあるを使って面白さを通じやすくし、承で意外性を強めてくだらなさから面白さを増強し、転で雰囲気を変えてマンネリを防止し、結で締めるポーズをしてネタが終わったことを強調するなど)。

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ネタのタイプ別 おすすめ記事


漫才、コント、ピン芸など、それぞれのネタのやり方や作り方を学びたい人は、下記の記事がおすすめです。
また、漫才・コント・ピン芸のいずれのネタにも当てはまらないネタのやり方は、「ピン芸ネタの作り方」の記事リンクが参考になると思います。

音楽系

ネタ動画のリンク集


吉本興業所属の芸人さんのネタ
動画共有サイト「YouTube」で公開されている吉本興業所属のお笑い芸人さんに関するネタ動画が見られるリンク集。


その他

台本作りの難しさ


台本作りで一番難しいと思うのは、出来上がった文章(ネタ)を読んでも面白さが分かりづらいことです。
テレビ番組で芸人さんのネタを見かけますが、『M-1グランプリ』や『キングオブコント』といったお笑いの大会のネタが映像(DVD)化されるとしても書籍化されることはありません。
その年のお笑い界の最高峰のネタでも、文章(書き起こし)にすると面白さがなくなり商品にしても売れる見込みがないため、書籍化されないと思われます。

なぜネタを文章にすると面白さがなくなるのか?
その謎を解くために、ネタに影響する要素をできる限り挙げてみたいと思います。
  • 視覚的な情報(動き・表情、外見・ファッション、小道具・セット・照明)
  • 聴覚的な情報(声質・話し方、効果音・BGM・物音)
  • 時間的な情報(速さ・タイミング・間、ネタ順)
  • 環境的な情報(客層、舞台の構造・客席の構造)
  • 感覚的な情報(芸人・ネタへの好意、場の緊張感・高揚感、他の観客の反応)

ネタは技術だけでなく様々な情報が合わさることで面白さを作り上げています。
しかし、文章の段階では「視覚的な情報」「聴覚的な情報」「時間的な情報」「感覚的な情報」「環境的な情報」などが加わっていないため、面白さが分かりづらいです。
また、自分の面白いと思う基準が観客(世間)と合う合わないという根本的な問題もあり、ネタを披露するまで結果が見えないところも台本作りの難しさと言えるでしょう。

ちなみに、天津・木村さん、だいたひかるさん、長井秀和さん、ヒロシさんといったピン芸人さんらが披露している「あるあるネタ(一言ネタ)」は書籍化されています。
あるあるネタというのは、文章の意味だけでも面白さが成立している(ことが多い)ので、書籍化に向いています。
誰でも経験のある個性的な出来事、誰でも考える個性的な想像、誰でも持つ特殊な価値観など、「観客の記憶に潜在している情報」や「合理的な構造性(納得感)」をベースにボケを作るので、上記に列挙したような「情報」がなくとも面白さが成立するのです。


台本作成はアナログ?デジタル?


アナログ
筆記用具を使い、メモ帳・大学ノート・ルーズリーフに書く。
メモ帳(小型で持ち運びやすい)・大学ノート(たくさん書ける)・ルーズリーフ(管理がしやすい)

  • ○: すぐに書き残せる(ポケットやカバンからすぐに取り出せる)
  • ○: 人前で確認できる(他人からはメモ書きを見ている印象)
  • ○: 雑に扱える(衝撃や少しの雨であれば耐えられる)
  • ○: 場所を取らない(メモ帳やノートサイズ)
  • ○: 値段が安い(約300円以下)
  • ×: 文章の編集がしづらい(文章や絵の追加や移動がしづらい)
  • ×: 複数人で内容を共有できない(内容は自分専用)
  • ×: 動きの情報を残せない(絵をコマ割りにする以外は残せない)
  • ×: 声や音・音楽を残せない(楽譜にする以外は残せない)
  • ×: 内容を他人に見られる恐れがある(簡単に内容をのぞかれる)

デジタル
指や専用のペンを使い、スマートフォン・タブレット・ノートパソコンに入力する。
スマートフォン(日常的に持っている)・タブレット(スマホより画面が大きい)・ノートパソコン(本体の構造的に使い勝手が良い)

  • ○: 文章の編集がしやすい(コピー&移動が簡単、テンプレートを作れる、便利なアプリ・ソフト・サイトがある)
  • ○: 複数人でデータを共有できる(データの送受信や共同編集機能がある)
  • ○: 撮影・録音ができる(カメラ機能やマイク機能がある)
  • ○: データは本人・関係者しか見られない(パスワードや認証機能がある)
  • ×: 人前で確認しづらい(他人から見れば遊んでいる印象)
  • ×: 雑に扱えない(衝撃や雨の影響でデータが消えたり本体が壊れる恐れ)
  • ×: ノートパソコン・タブレットは場所をとる(持ち運びにカバンが必要)
  • ×: 値段が高い(安いタイプで数万円、盗難の恐れ)
  • ×: バッテリが必要(残量によっては使えない、長年の使用で最大使用時間が減る)


使いやすさとお財布事情を天秤にかけ、アナログにするかデジタルにするか選びましょう。もちろん、両方を持って使い分けても良いでしょう。

ネタ帳の使い方


独自のスタイル
骨組み(※特徴的なフリ・ボケ・ツッコミなどの方法)、起承転結(※特徴的なネタの展開方法)など、ネタに個性を持たせ、みんなに自分たちのことを覚えてもらいやすいよう、パターン化させる部分をまとめておく。

ネタのタイトル
複数のネタを作ったときに違いが分かりやすいよう、ネタごとに名前を付けておく。
ネタの管理や個別に覚えやすいよう(覚えてもらいやすいよう)適切なタイトルを付けましょう。
例えば、単純に「(※仕事が上手い店員のネタには)カリスマ店員」と名付け、面白さを加えるときは「(※嫌味なことを言うOLのネタには)超うざすぎるOL」と名付け、ネタのスタイル自体に付ける場合は「(※拳法のような動きをする漫才のネタには)カンフー漫才」といったように付けておきます。

ネタの列挙
フリ、ボケ、ツッコミ、ギャグなど思い付いたアイデアをたくさん書き出しておく。
特定のネタのために書いたり、ネタのテーマさえ合えばいずれ使う用に書き残しておきます。

テンプレート
(※デジタル用)ネタのセリフを何度も入力しなくて済むよう、入力済みの文章を作っておく。
例えば、「○○したっていいじゃないか ○○したっていいじゃないか」というネタを持っているとしたら、事前に入力して保存しておき、コピー&ペーストもしくはファイルのコピーを使い回します(※○○部分にボケを入力)。
もしくは、一つのネタをネタのする時間に合わせて内容を増やしたり減らしたりしたバージョン違いのネタを作成するための元ネタ(「ネタの完成系」)をテンプレートとして用意しておく。

ネタの完成形
1つの出来上がったネタを作る。これを丸暗記して練習をする。場合によっては見やすいよう清書しておく。
出来上がったネタをタイマーで計測しながら実際にやってみて、どのくらい時間が掛かるのかを書き留めておく(※ネタをする時間に合わせて過不足を調整する際に時間がわかると便利)。

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